kuppykuppy’s diary

中国語で書かれた羽生結弦選手関連の文章を色々と翻訳しています。速報性皆無のマイペース素人翻訳ですが、よろしければお読み頂ければ嬉しいです。 Twitter:@kuppykuppy2020

中国新聞社の記事「羽生結弦を待ち望む」

一体いつ彼が現地に現れるのか、ドキドキして仕事が手につかない日々が続いていますが、中国でもみんな羽生選手を待ってるんですよーという、中国新聞の記事です。


中国新聞社2月2日 タイトル:羽生結弦を待ち望む

 中国新聞社 記者 張素

 

 2月2日の首都体育館、冬季オリンピックフィギュアスケート男子シングル種目を2連覇した羽生結弦は依然として姿を見せない。

 

 会場で配られた練習日程表によると、この日の13時55分から14時30分が男子シングル第5グループの練習時間だ。本来羽生結弦を含めた6人の選手が出るはずだが、実際に氷上に出てきたのは2人のみ。広いリンクがことのほか広く感じられる。ここで待っていた人たちもいささかがっかりしているように見えた。

 

 フィギュアスケートの日本代表チームは今回の冬季オリンピックの男子シングルの上限数の出場枠を獲得した。平昌オリンピック銀メダルの宇野昌磨、世界選手権銀メダルの鍵山優馬はそれぞれに素晴らしい選手だ。前者は表現力が豊かな上にジャンプ技術も突出していて、後者は技術に安定感が増して来ている。新世代の中でずば抜けた選手達だ。

 

 しかし彼らへの注目度は羽生結弦へのそれとは比べ物にならない。宇野昌磨らの団体が北京に着いた時、人々がそろって注目したのは羽生結弦がいないことだった。「世界中が羽生結弦を探しているかのようだ」「羽生結弦はまだ来ていない」。これらは既にSNSのトレンドになり、スタッフと記者が挨拶する時の「合言葉」にもなっている。

 

 羽生結弦はまだ来ていない。そして北京オリンピック会場内外で、このフィギュアスケートのスター選手をめぐる物語が数多く語られている。

 

 技については、伏線が張られている。2019年からこれまで羽生結弦は、北京オリンピックの選考会である全日本選手権を含む公の場で何度も4回転アクセルに挑戦している。完成度にはまだ問題があるものの、「転ばなかった」ことはこの技を千回以上に渡り練習してきた彼にとって十分な希望の光となった。先日彼は取材を受けた時に語った。「4回転半を完成させたいという強い思いがある。」そして自分は今が一番上手いのだと。

 

 表現にはイマジネーションが掻き立てられる。平昌で羽生結弦は和の曲「陰陽師」の素晴らしい演技で観客を驚かせ「雁が跳ぶかのような軽やかさ  龍が動き回るかのようなしなやかさ」と称賛された。今回彼がフリーの演技で表現するのは日本の戦国武将上杉謙信の一生だ。羽生結弦は述べた。自分の世界観と、悟りを開こうとした日本の「戦いの神」の価値観に共通点を感じているのだと。そして彼はこの「天と地と」が何らかの感情を灯すきっかけになってほしいと願っていると言う。

 

 もしも羽生結弦が北京で「真の4回転アクセル」を完成させることがきて、更に並外れた表現力が加われば、3連覇の可能性は極めて高い。

 

 それは多くのフィギュアスケートファンが待ち望んでいることだ。彼の故郷では3連覇を願う横断幕が高く掲げられ、神社には彼のために参拝する人たちが大勢訪れている。北京には彼の名前を防護服に書いて憧れの人への応援を示すボランティアもいる。多くのアスリートも彼の「ファン」だ。例えば中国アイスダンスカップル王诗玥・柳鑫宇。緊迫した試合の空き時間に羽生結弦を再び「お姫様抱っこ」したいと計画している。

 

 ライバルも虎視眈々としている。前回の冬季オリンピックで、チャンピオンの2連覇を食い止める最有力候補と目されていたアメリカの選手ネイサンチェンは、北京に到着して24時間経たないうちにリンクに現れた。2日の午後、この全米選手権の6度目の優勝を果たしたスター選手は予定時刻に首都体育館に到着し、氷上にいる30分の間一切手を抜くことなく練習を続けた。彼は先日このオリンピックで5本の「4回転ジャンプ」を跳ぶ予定だと明かしたところだ。

 

 「今回現地で羽生結弦とネイサンチェンの戦いを見るのがとても楽しみだ。」イタリアの選手、ダニエルグラッスルは記者に語った。

 

 多くの有名選手が国際試合を欠場したため、この19歳の新人が現在ISUの男子シングル選手ランキングのトップに位置している。しかし彼の初めてのオリンピックでの目標は経験を積むこと。特に羽生結弦と同じ試合に出場することが「今後の競技の力になる」と考えているそうだ。

 

 北京冬季オリンピックフィギュアスケート種目のプログラムによると、男子シングルの競技は2月8日に開催される。(完)