kuppykuppy’s diary

中国語で書かれた羽生結弦選手関連の文章を色々と翻訳しています。速報性皆無のマイペース素人翻訳ですが、よろしければお読み頂ければ嬉しいです。 Twitter:@kuppykuppy2020

どうして誰もが羽生結弦を好きになるのか?②

前回の投稿について話題にしてくださった方がいらっしゃったようで、多くのアクセスをいただいております。

拙い訳で恐縮すが、元の記事はとてもいい内容ですので、沢山の方に読んでいただけて嬉しいです。

今回もまだ途中までですが、続きの訳を掲載します。

 

 

熱血アニメのようなフィギュアスケート人生 困難を恐れず追求する究極の美

羽生結弦のファンならきっとこの言葉には馴染みがあるだろう。「羽生の外見はアニメの主人公のようで、生き方はまるで熱血アニメのようだ。」これはCCTV(中央人民電視台)のキャスター陳滢が彼のスケートへの姿勢や生き方について的確に評した言葉である。怪我や病気、疑念などに直面した苦しい時、羽生は逃げずにぶつかっていくことを選ぶ。まるで何も顧みない闘士のように。数多の栄誉を手に入れても彼はその輝かしい歴史を忘れて更に高い目標を設定し、新たな出発をする。彼がある意味過度とも言える程に究極の美を追求し続けるのは、彼の性格の特徴でもあり、骨の髄からフィギュアスケートを深く愛する故でもある。彼はその身体と心の全てをフィギュアスケートに捧げているのだ。

この度のグランプリファイナル、羽生結弦はショートでは調子が悪く、多くのミスを犯してしまい、1位のネイサンチェンとは13点近くの点差が開いてしまった。これは次のフリーにおいての大きなプレッシャーとなった。例えミスなく滑ったとしても点差を埋めて逆転するのは容易なことではない。そこで羽生結弦は一か八かの勝負に出ることを決めた。勝負の形勢から判断し、フリーの構成を組み替えて5本の4回転ジャンプを投入したのだ。これは彼の身体能力に対する非常に大きな試練であった。考えても見て欲しい。NHK杯での優勝からグランプリファイナル出場まで、たったの1週間と少し。こんなにも短い期間に2つの重要な試合に出場することは羽生結弦にとって大きな挑戦だった。結局トリノではコンディションを最高の状態に高めることができず、フリーの後半での再びのミスによる失点で、残念ながら事態を好転させることはできなかった。

しかし、羽生のプログラム構成は現地の観衆の目を大いに楽しませてくれた。そして演技終了後には氷の上に倒れこむ程に懸命に闘い全力を尽くしたそのスポーツマン精神に柚子ファンたちは強く心を打たれた。「勝つのが難しいことはわかっていたが、何かを成し遂げたかった。」羽生の見せた諦めない心と真摯な姿勢。彼が望むのは惜しみなく力を注ぎ、自分の実力を発揮し、より良い結果を追求することだ。

実はこの「熱い血」は幼少期からずっと羽生の身体の中に流れている。羽生は幼い頃から喘息を患っていたため、彼の父親は身体を鍛えて病気に打ち克つことを願って彼にスケートを習わせ始めた。しかしリンクに足を踏み入れる度に、彼のこのスポーツに対する愛は深まって行った。喘息があったせいで、練習の成果を出すには人の何倍もの努力が必要であったが、羽生は決して委縮せずに粘り強く練習を続け、少年時代に早くも日本のフィギュアスケート界で頭角を現し始めた。

多くの柚子ファンが最も思い出したくない試合は2014年のグランプリシリーズ上海大会であろう。このいささか悲劇的な試合をファンたちは「血染めのファントム」と呼んでいる。試合前のウォーミングアップで羽生が高速で滑走している時、中国の選手ハン・ヤンと衝突。その瞬間、彼は投げ出された。強く氷に打ち付けられたその身からは血が流れ、しばらく起き上がることもできなかった。少し身体を暖めた後、2人はそれぞれ応急処置のため包帯を巻いた。衝突による目に見えない影響を考えると、常識的には棄権するのが一番無難な選択であったので、コーチらも彼らにそれを言い含めた。しかし2人はそろって出場したいという強い思いを訴えたのだ。

包帯を巻いた羽生は「跳ぶ!」と叫び、再び登場した。ただしその後の場面はかなり凄惨で、羽生はジャンプしては転倒を繰り返した。4分30秒の演技で8回ジャンプを跳び5回転倒。それでも彼は全く怯むことなく怪我の痛みに耐えつつ、意志の力で最後まで滑り続けた。これこそ最も羽生結弦らしい一面。彼は困難に抗い自分の極限に挑む。最終的には銀メダルに終わったが、彼の不屈の精神は観客の支持を勝ち取った。そして幸いにも羽生にこの事故による深刻なダメージは残らなかった。

平昌オリンピックで連覇を成し遂げ、羽生は既にこの上ない栄誉と称号を手に入れた。フィギュアスケート界では羽生はもう十分に偉大な存在で、これ以上懸命に挑戦せねばならないようなことなど何もないように見える。しかし彼は自分は今を生きているのだと言う。「オリンピックチャンピオンだとか、世界チャンピオンだとか、それは何の関係もない。自分のモチベーションは全く失われていない。もっと強くなりたい。自分の新たな敵は自分だ。」羽生はそう語り、その言葉の通りに行動している。彼はこの「新たな敵」に向き合い、たゆまず自分の技を磨く終わりなき道を歩んでいる。

向かうところ敵なしの成績であると言うのに、羽生は脇目も振らず更に技術を磨き、フィギュアスケートの極限に挑む。2018年のグランプリシリーズのフィンランド大会で、羽生結弦は4回転トウループ+3回転アクセルを完成させ、世界で初めてこのコンビネーションを成功させた選手となった。平昌オリンピックの後に羽生は、4回転アクセルの習得が唯一のモチベーションだと語っている。2019年シーズン、騰訊体育(テンセントスポーツ)の報道によると羽生は、理論上は可能だと言われている5回転ジャンプの練習を始めていて、同じぐらい超高難度である4回転アクセルへの挑戦につなげようとしているとのことである。

 

今シーズン、羽生は試合でショートプログラム《オトナル》とフリープログラム《origin》の2つのプログラムを滑り続けているが、彼は現在の《オトナル》と《origin》はまだバージョン1.0に過ぎないと言う。彼は4回転アクセルを習得した後にそれをこの2つのプログラムに取り入れ、完璧なバージョン2.0を作り上げることを目標としている。羽生が最強の自分を探し求めることは、フィギュアスケート種目の進歩の加速にも繋がっている。過去から今に至るまで彼はこのために全てを捧げている。彼のような名人級の人物にとっては完璧を求め続けることは与えられた宿命なのかも知れない。

(翻訳)どうして誰もが羽生結弦を好きになるのか?③ - kuppykuppy’s diaryに続きます